気軽にサクッと行ける散歩スポットのひとつ「帰真園(きしんえん)」。
私は「少し気分転換をしたいな」と思った時によく行きます。二子玉川公園内にあり、無料で中に入れるのが魅力。そんな「帰真園」をご紹介します。
なんと、世田谷区立初の回遊式日本庭園だった!

いつもスルーしがちな看板ですが、今回は真面目に読んでみました。
そこには「2013年に策定された、世田谷区立初の回遊式日本庭園」とあります。「世田谷区立初」だったとは…!多摩川の源流からこの地までをテーマとした「縮景庭園」とのこと。「日本庭園」と言うだけあって、石がところどころに配された池があり、富士山に見立てた「小富士」、四季折々の花を咲かせてくれる草木が所せましと植えられています。

中央の傘型屋根の建物は「時雨亭」という東屋。ここでお茶でも飲みながら園の全景をゆったりと眺めるのも一景。キラキラ輝く水面、木々のざわめきがストレスを一掃してくれます。東屋だけでなく、腰を下ろせる石が点在しているので、お気に入りの休憩場所を見つけるのも楽しみのひとつ。平日には、お昼休憩をしているサラリーマンがサンドイッチを食べている姿も。仕事の合間に来られるのは羨ましい限りです。

池の水面に映し出される緑の木々や、水しぶきを立てながら池に流れ込んでくる水を眺めていると、なんとなく心が落ち着きます。
「区登録有形文化財」に登録された「旧清水家住宅書院」の復元も
園内にポツリと佇む小さな家屋。近代和風建築の特徴を残しているとして、世田谷区の「区登録有形文化財」に登録されている建物です。瀬田や野毛あたりの国分寺崖線沿いには、明治から昭和初期にかけて政財界の方たちの別邸が多く建てられていたそうで、この書院は「清水家」の別邸の離れだったということです。
中は十一畳の「書院の間」と長五畳、小さな台所があるだけの小ぶりな作りなので、あっという間に見て回れてしまいます。書院の間の「格天井」や上部が炎の形になっている「火灯窓」など、当時の建築様式を見るとその緻密さに思わずため息が出てしまいます。


季節の移り変わりを実感できるのが最大の魅力

帰真園には、たくさんの種類の草木が植えられているので、四季を通じていろいろな花を愛でることができます。10月初旬に立ち寄った時は紅葉にはまだ早く、草木はまだ緑一色。かりんの実もまだ緑色でした。11月にはもみじが色づき始め、虫の声を聴きながらの散策が気持ちいい季節になります。
3月のとある日に訪れた時には、満開の梅の花が迎えてくれました。紅白の梅が青い空に映えて時間を忘れて見惚れてしまった私です。もちろん桜も咲いていますよ。


可愛らしい沈丁花の花も顔を出していました。とにかく植物の種類が豊富なので、「これが○○という花だったんだ」という驚きながらの納得や初めて出会う花への感動など、いつ行っても、何回行っても飽きることがありません。
帰真園を会場として季節ごとにイベントの開催も
今回は見逃してしまいましたが、9月には1回「夜の特別開園」があったようです。帰真園の管理をしている二子玉川公園ビジターセンターのイベントカレンダーを拝見してみると、お月見のお供えや生け花の展示、帰真園の作庭者の解説など、興味深い内容でした。秋の夜の帰真園は風情があって素敵に違いありません。来年はぜひ体験してみたいところです。
こうした特別開園以外にも、親子で参加できる「体験プログラム」と称して、生き物探し体験や葉っぱを観察する会など、自然と関わるイベントを開催しています。お子さんと一緒に参加してみるのもいいかもしれませんね。
春夏秋冬、それぞれ異なる顔を見せてくれる帰真園。ゆったりとした時間を過ごしたくなったら、ふらっと訪れてみてはいかがでしょうか。
二子玉川公園内 帰真園(きしんえん)
住所:東京都世田谷区玉川1-16-1
アクセス:東急田園都市線「二子玉川駅」から徒歩約9分
TEL:03-3700-2735(二子玉川公園ビジターセンター)
開園時間:9:00-17:00(11月~2月は16:30まで)
定休日:火曜日(火曜日が祝日の場合は開園します)、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:有